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05.16.14:48
配役は、ユマサーマン、ジュードロウ、イーサンホーク。いまではベテランの域に達している俳優さん達ですが、この映画ではフレッシュな役回りを演じています。 この映画の縦軸に流れるテーマはずばり「差別問題」。それも近未来において必ず社会問題化するであろう遺伝子による社会的差別を描いています。そしてこの映画全編を通して流れて来る低い感じの静かなトーン。これは旨く映画全体の雰囲気を決定付けているしね。 そして横軸に流れるテーマは、人間の成し得る限界は、生まれ持った遺伝子だけに左右されるのではなく「意志」により人生の道が開かれ、また「優秀な遺伝子」を持った人間であっても「運命」により人生が左右されるってこと。ちょっと長くなっちゃったけど、つまり人間の醜い部分と前向きな部分を縦横で扱っている訳だよ。 宇宙飛行士を夢見る主人公の青年ビンセントは、劣勢の遺伝子の為に希望のない生活を送っている時に、とある業者を通じて身障者となった優秀な遺伝子を持つ元エリート、ジェロームに成りすますチャンスを得ます。そして遺伝子を偽装して見事にエリートになってしまうんだが、そこに上司の殺人事件が絡んで来て途中からサスペンス仕立て物語は進んで行きます。 チャンスを得る為に危ない橋を渡るものの、遺伝子で量られた能力を努力で克服する姿に、近しい人間は心を動かされるのでしょう。冷たいと思っていた世界、逃げ出す事だけを考えていた世界も「捨てたもんじゃない」と気づき、主人公はまた同じ場所に還りたいと思うようになる…。 設定はもちろんSF、登場人物達の端正な顔立ちもSFにピッタリで、大声で泣いたり叫んだり笑ったりもしない、固い廊下に靴音だけが響くような静かな展開です。なのに、観終わった後に目頭がジワッと熱くなります。それは、話の根底に流れているヒューマンドラマのせいでしょう。派手さはないけど、その分じっくりと観られる作品だと思います。 エリートにも不適格者にも苦悩はあって、この作品はそのどちらも描いている。元エリートのジェロームの思いは、不適格者ビンセントに託された。遺伝子に何もかも決められる、冷たい世界の映画だという印象を受けるが、だからこそ登場人物たちの見せる「人間味」が際立っているんじゃないだろうか? 宇宙に飛び立つのは一人でも、託された思いは一つじゃない。 是非、観て頂きたい映画です。 あらすじ: 出生前の遺伝子操作により、生まれながらに優れた知能と体力と外見を持った「適正者」と、「欠陥」のある遺伝子を持ちうる自然出産により産まれた「不適正者」との間で厳格な社会的差別がある近未来。 「不適正者」として産まれた主人公ヴィンセントは、子供の頃から「適正者」のみに資格が与えられている宇宙飛行士になる事を夢見ていた。ヴィンセントはDNAブローカーの仲介で、事故により足の自由を失った元水泳金メダル候補の「適正者」ジェローム・モローの生体ID(血液や指紋など)を買い取り、生体偽装によりジェロームになりすまし、宇宙局「ガタカ」の局員となる。努力の結果ついにヴィンセントは念願のタイタン探査船の宇宙飛行士に選ばれるが、出発間近に上司が何者かに殺された事件現場で「不適正者」ヴィンセントのまつ毛が発見された事から正体発覚の危機が訪れる。ヴィンセントの素性に疑いを抱く「適正者」の女性局員アイリーンと、今やエリート捜査官になった「適正者」の弟アントンの登場でヴィンセントの運命は・・・、そしてジェロームは・・・。 ほなな~♪ PR
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